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2011.02.18

治療期間の認識の違い

矯正治療は年単位の治療となります。

子供の治療の場合、顔を形作るあごの骨の成長も考えながら治療するので、早く治療を始めても場合によっては20歳ころまで治療が必要になることがあります。

さて、みなさんが矯正治療の期間を考えるとき長い、短いを判断するのはどの期間のことを考えて判断されているのでしょうか?

子供の例をあげてみると

1.治療計画を立て、
2.装置を装着して歯やあごの位置を整え、
3.装置を外して成長の様子を見守り、
4.あごの成長が見通し付いて、マルチブラケット装置を装着してかみ合わせを整え、
5.マルチブラケット装置を撤去して保定を始め
6.保定を終了して経過観察し、
7.治療を終える
良くあるケースは上のような流れになります。

1から7までを考えて治療期間が長すぎると考えられると、こちらも困ってしまいます。

 

たとえば、ある患者さんが1~7までの治療期間で10年かかったとします。

矯正治療的には妥当な治療期間であったとします。

その患者さんが他の矯正治療を希望している患者さんに「10年かかった」と言った場合、

矯正治療を希望する患者さんが、1~7の期間で10年かかったと理解してくれれば良いのですが、

2~5の期間、もしくは5の期間だけで10年かかったと思われて、治療をするのをためらわれることがあるとしたら。

矯正治療を希望している患者さんにとって不利益かなと考えます。

できれば、矯正治療を経験されたかたは他のかたに治療期間の話をされる場合は、治療はどのように進行し、どの期間が何年といったように説明していただければ幸いです。

2011.02.17

歯科の標榜と歯学部教育

おはようございます。

木曜の定休日です。

宮崎は小雨。

新燃岳周辺で土石流が起きないことを願っています。

 

さて、本日も硬いタイトルでお送りしています。

 

医院・歯科医院で看板に掲げる診療科目を標榜(ひょうぼう)といいます。

医科だったら内科、外科、産科・婦人科などなど。

歯科で認められているのは歯科、矯正歯科、小児歯科、歯科口腔外科です。

では大学での研究や講義はどのように別れているのでしょうか。

私の出身大学は鹿児島大学ですが、鹿児島大学の医学部では臨床系研究室は23に分かれていて、内訳は、

内科学第一、内科学第二、内科学第三、リハビリテーション医学 、神経精神医学、小児科学、皮膚科学、放射線医学 、臨床検査医学、臨床薬剤学 、心身医療学、外科学第一 、外科学第二、脳神経外科学、整形外科学、泌尿器科学 、眼科学、耳鼻咽喉科学、産婦人科学、麻酔・蘇生学 、小児外科学、医療情報管理学 、医療総合科学

となっています。

それぞれの名前を見れば医科の診療内容、さらに言えば医科の標榜科目に多くが則していることがわかります(臨床薬剤学、医療情報管理学 、医療総合科学を除く)。

 

一方歯学部では臨床系研究室は12に分かれていて、

予防歯科学 、歯科矯正学 、小児歯科学 、歯科保存学 、歯周病学 、咬合機能補綴学 、口腔顎顔面補綴学 、顎顔面疾患制御学 、口腔顎顔面外科学 、顎顔面放射線学 、歯科麻酔全身管理学 、歯科医学教育実践学となっています(これは鹿児島大学の研究室名です。大学によって研究室名は異なります。)。

これを標榜科目と対応させると、

歯科(予防歯科学、歯科保存学 、歯周病学 、咬合機能補綴学 、口腔顎顔面補綴学、顎顔面放射線学 、歯科麻酔全身管理学)

矯正歯科(歯科矯正学、顎顔面放射線学)

小児歯科(小児歯科学、顎顔面放射線学 、歯科麻酔全身管理学)

歯科口腔外科(顎顔面疾患制御学 、口腔顎顔面外科学 、顎顔面放射線学 、歯科麻酔全身管理学)

になります。

歯科麻酔全身管理学は診療に麻酔を用いるところ、顎顔面放射線学はX線撮影する診療科目すべてに関与してきます。

研究室名や研究室数は大学によって異なりますが、分け方の傾向は似ています。

そうして眺めてみると、歯科という標榜名がカバーする範囲が広いことがわかります(逆を言えば医科にくらべ歯科は細分化されているという表現が正しいのかもしれませんが)。

2011.02.16

障害者自立支援医療

障害者自立支援法という法律があります。

その法律の目的は「障害者及び障害児がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができる」ようにすることとなっています。

つまり、障害のある方に対し、医療、介護、就労支援などのサービスを提供し、自立して日常生活を送れるようにするものです。

歯科に関連するものとして、音声、言語、そしゃく機能障害を有する患者さんに対して医療費の補助を行っています。

矯正治療に関しては、音声、言語、そしゃく機能障害に歯列不正が関与し、咬合の改善が障害の改善に有効であると認められる場合には補助の対象となり、治療費の自己負担額が抑制されます。

特に、矯正治療が自立支援医療の対象となる最たる例が唇顎口蓋裂患者さんの矯正治療です。

この法律が適用される医療は原則1割自己負担で、世帯の所得額に応じて月当たりの自己負担額に上限が設定されています。

・生活保護世帯の方なら、0円
・市町村民税非課税世帯で障害基礎年金2級(月6.6万円)のみ受給程度の収入の方なら、2,500円まで
・市町村民税非課税世帯の方なら、5,000円まで

 

育成医療(18歳までの医療)についてはさらに負担額の上限が設定されていて、

・市町村民税課税で市町村民税額(所得割)が2万円未満の世帯の方なら、10,000円まで
・市町村民税額(所得割)が2万円以上20万円未満の世帯の方なら、40,200円まで
となっています。

障害者自立支援医療の申請には、障害者自立支援医療申請書(保険所にあります)、医師・歯科医師が記載する障害者自立支援医療意見書、健康保険証(カードタイプの場合、世帯全員の住民票と保険証も合わせて必要)、市町民税の課税証明書、印鑑が必要です。

障害者自立支援医療による医療給付は、市町村で認可を受けた保険医療機関でのみ受けることができます。指定をうけているかどうかについては各医療機関にお問い合わせください。

2011.02.15

アクセス数1万達成

本日アクセス数通算1万回を達成しました。

ブログを始めたのが昨年10月ですから、4か月での達成となります。

このようなつたないブログにお付き合いいただき、ありがとうございます。

今後ともよろしくお願いいたします。

宮崎の矯正歯科医

2011.02.15

保険で矯正治療が可能な医療機関

歯科治療を受けるとき、一般的には保険医療機関でなら保険で治療することができます。

この保険医療機関は申請を行い、認可がおりてはじめて保険で診療をすることができます。

そのため、保険医療機関の申請を行っていない、認可を受けていない、認可を取り消された医療機関では保険診療はできません。

では、保険医療機関の認可を受けている歯科医院において、保険での治療を認められているすべての診療を保険で治療することができるのでしょうか。

答えは条件付きで保険診療が可能です。

保険診療にはある設備や体制を整えた医療機関でのみ保険で診療することができる特別な治療があります。

その治療に関わる保険料を特掲診療料といいます。

矯正の特掲診療料には歯科矯正診断料と顎口腔機能診断料があります。

歯科矯正診断料、顎口腔機能診断料ともに、厚生労働大臣が定めた施設を備えた保険医療機関が申請を行い、認可された場合に算定することができます。

 

歯科矯正診断料は、唇顎口蓋裂、ダウン症候群、クルーゾン症候群など先天異常やシンドロームによる咬合異常に係わる保険点数で、この算定に関わる診療を行い、算定しないとその後の矯正治療ができません。

この施設基準は常勤の矯正治療を行う歯科医師がいて、セファロ撮影の装置があり、手術を行う場合は手術を行う医療機関と提携していることが必要となります。

早い話が、セファロ撮影装置がないと歯科矯正診断料が算定できませんので、そのような医療機関では唇顎口蓋裂、ダウン症候群、クルーゾン症候群など先天異常やシンドロームによる咬合異常の患者さんを保険で治療することは不可能(自費なら可能)になります。

 

顎口腔機能診断料は顎変形症患者さんに関わる保険点数で、この算定に関わる診療を行い、算定しないと顎変形症患者さんの保険を使った矯正治療ができません。

この施設基準は常勤の矯正治療を行う歯科医師と、常勤の看護師または衛生士がいて、セファロ撮影の装置、下顎運動検査機器、咀嚼筋筋電図検査機器があり、手術を行う医療機関と提携していることが必要となります。

上の歯科矯正診断料の施設基準よりさらに厳しくなり、セファロ撮影装置のみならず、下顎運動検査機器、咀嚼筋筋電図検査機器まで揃えないと顎口腔機能診断料が算定できません。そのような医療機関では顎変形症の患者さんを保険で治療することは不可能(自費なら可能)になります。

ここで、問題になってくるのが、矯正治療を行う医療機関が顎口腔機能診断料の認可を受けていない医療機関で、手術は別の医療機関で行う場合、矯正治療は保険がきかないですが、このとき手術についても保険で行うことができなくなります。保険で手術できないとなると、高額療養費の適用も受けられませんので、自己負担となる治療費総額は莫大なものとなります。

 

矯正専門で開業している医療機関は歯科矯正診断料の認可を受けている医療機関が多いですが、顎口腔機能診断料に関しては検査機械がかなり高額になるため申請をしていない医療機関もあります。

また、一般歯科で開業されている医療機関で、看板に矯正歯科を掲げている場合でもセファロ撮影装置を備えていない医療機関が多いです。

唇顎口蓋裂、ダウン症候群、クルーゾン症候群など先天異常やシンドロームによる咬合異常や、顎変形症の患者さんで保険での矯正治療を希望される場合は歯科矯正診断料と顎口腔機能診断料の算定できる医療機関に通院してください。

2011.02.14

本日は代休です。

昨日、月1回の日曜診療日でしたので、本日は休診です。

宮崎はここ数日寒い日が続いています。

天気は朝から雨模様です。

朝5時ごろ、新燃岳が爆発的噴火を起こしました。

結構大きな爆発で、爆発音、空振ともかなり大きく、家族全員眼を覚ましました。

農作物への影響、健康被害、交通機関へのえいきょうなど、周辺市町村には影響が出ています。

火山活動が早く終息してほしいものです。

2011.02.13

マジックボール

歯科医院の受付カウンターの上です。

マジックボールの小さめのものを置いています。

 

一昨年の新型インフルエンザが流行っていたころにマジックボールを見つけ、開院したら入口近くに置きたいと考えていました。

 

入口目の前、カウンターの向かって右端に置いています。

小さめなのですが、説明書に書いてあるソリューションの量通りにすると、匂いが強すぎて診療室の奥まで匂いが届きます。

大体半分くらいの量のソリューションを入れています。

今のところ、マジックボールを置いてから自分自身はインフルエンザに感染していません。

効果についてはわかりませんが、マジックボールによって来院患者さんが風邪やインフルエンザに感染することを抑制できればと考えています。

2011.02.12

石川の口蹄疫疑い

昼休中にまったりとネットを見ていると、

石川県で口蹄疫の疑い例が出たそうです。

 

宮崎県の発生例は県民一丸となって封じ込めましたが、宮崎はかなりの大打撃でした。

韓国や北朝鮮でも猛威をふるっています。

石川県の例が陰性であることを祈っています。

2011.02.12

早期の矯正治療

新生児は先天疾患がない状態ではほぼ正常な骨格と言えると思います。

そこから歯が生え始め、食事の取り方、癖、もともとの遺伝的な成長の様相などの影響を受け、ある子供は正常咬合、ある子供は少し歯列不正があるかなという程度の咬合、ある子供は重度の不正咬合へと変化していきます。

 

上の図の2つの赤のラインを見てください。

どちらも最初は正常咬合の範囲に入っています。

そこから成長するに従って軽度歯列不正に変化します。

これは咬み癖だったり、生え換わりの時に歯の傾きが悪かったり、あごの発育が悪かったり、原因は様々です。

ここで、早期に治療を開始すればその後の成長は多くの場合正常な方向へ変化します。

不正の程度は重度な方向に進むことは少なくなり、場合によっては正常咬合に変化するでしょう。

では早期に治療を行わない場合どうなるでしょうか。

下の赤のラインは同じように最初正常咬合の範囲に入っています。

それから軽度歯列不正、重度歯列不正に変化します。

重度の歯列不正になると、そこから正常咬合に変化させるにはそれなりに治療が複雑になりますし、装置装着に期間が長くなりがちになります。

場合によっては手術の選択が必要となるでしょう。

癖や生活習慣が不正咬合に関わっている場合は子供のときに改善するのに比べて大人は改善しにくいです。

後戻りのリスクも増えるでしょう。

 

早期の矯正治療は不正咬合につながる要因を早期に取り除くことで、その後の変化を正常な方向へ誘導することが容易になります。

なるべく負担をかけずに正常な方向へ導くため、子供のかみ合わせの異常に気が付いたらすぐに歯科医師に相談してください。

2011.02.11

マウスガード  -スポーツの記事から

スポニチの記事からです。

 

マー君 迫力黄色マウスピースで開幕つかむ!

楽天の田中投手は黄色のマウスガード(マウスピース)を使用しているのですね。

記事にはその他にも日本ハム・ダルビッシュ投手が使用していることが書いてありました。

マウスガードの使用と野球の競技能力向上の関係はいまだ良くわかっていません。

マウスガード装着によって背筋力などは向上することが示されていますが、これは静的な状態での計測ですし、試合中はバッターにせよピッチャーにせよ動的な状態で一連の動作として運動しています。

筋力だけでなく、速度、動きの滑らかさ、重心の変化、視力、安定性など色々なファクターが様々なバランスで関与しています。

総合的に能力が向上しなければ、筋力だけが向上しても効果的とはいえません。

プロ野球連盟と日本スポーツ歯科医学会が共同でしっかりとした研究を行い、

関連があるのかないのか、

ある場合はどのような形態のマウスガードが良いのか、

どのような能力の向上が得られるのか、

マウスガードを利用しながらどのようなトレーニングを行うのが効果的か

といったことが示されるといいですね。

連盟が無理としてもどこかのチームが将来の投資と思って今のうちに二軍や育成中の選手を対象として研究を始めるのも面白いかもしれませんね。

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