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2011.02.15

保険で矯正治療が可能な医療機関

歯科治療を受けるとき、一般的には保険医療機関でなら保険で治療することができます。

この保険医療機関は申請を行い、認可がおりてはじめて保険で診療をすることができます。

そのため、保険医療機関の申請を行っていない、認可を受けていない、認可を取り消された医療機関では保険診療はできません。

では、保険医療機関の認可を受けている歯科医院において、保険での治療を認められているすべての診療を保険で治療することができるのでしょうか。

答えは条件付きで保険診療が可能です。

保険診療にはある設備や体制を整えた医療機関でのみ保険で診療することができる特別な治療があります。

その治療に関わる保険料を特掲診療料といいます。

矯正の特掲診療料には歯科矯正診断料と顎口腔機能診断料があります。

歯科矯正診断料、顎口腔機能診断料ともに、厚生労働大臣が定めた施設を備えた保険医療機関が申請を行い、認可された場合に算定することができます。

 

歯科矯正診断料は、唇顎口蓋裂、ダウン症候群、クルーゾン症候群など先天異常やシンドロームによる咬合異常に係わる保険点数で、この算定に関わる診療を行い、算定しないとその後の矯正治療ができません。

この施設基準は常勤の矯正治療を行う歯科医師がいて、セファロ撮影の装置があり、手術を行う場合は手術を行う医療機関と提携していることが必要となります。

早い話が、セファロ撮影装置がないと歯科矯正診断料が算定できませんので、そのような医療機関では唇顎口蓋裂、ダウン症候群、クルーゾン症候群など先天異常やシンドロームによる咬合異常の患者さんを保険で治療することは不可能(自費なら可能)になります。

 

顎口腔機能診断料は顎変形症患者さんに関わる保険点数で、この算定に関わる診療を行い、算定しないと顎変形症患者さんの保険を使った矯正治療ができません。

この施設基準は常勤の矯正治療を行う歯科医師と、常勤の看護師または衛生士がいて、セファロ撮影の装置、下顎運動検査機器、咀嚼筋筋電図検査機器があり、手術を行う医療機関と提携していることが必要となります。

上の歯科矯正診断料の施設基準よりさらに厳しくなり、セファロ撮影装置のみならず、下顎運動検査機器、咀嚼筋筋電図検査機器まで揃えないと顎口腔機能診断料が算定できません。そのような医療機関では顎変形症の患者さんを保険で治療することは不可能(自費なら可能)になります。

ここで、問題になってくるのが、矯正治療を行う医療機関が顎口腔機能診断料の認可を受けていない医療機関で、手術は別の医療機関で行う場合、矯正治療は保険がきかないですが、このとき手術についても保険で行うことができなくなります。保険で手術できないとなると、高額療養費の適用も受けられませんので、自己負担となる治療費総額は莫大なものとなります。

 

矯正専門で開業している医療機関は歯科矯正診断料の認可を受けている医療機関が多いですが、顎口腔機能診断料に関しては検査機械がかなり高額になるため申請をしていない医療機関もあります。

また、一般歯科で開業されている医療機関で、看板に矯正歯科を掲げている場合でもセファロ撮影装置を備えていない医療機関が多いです。

唇顎口蓋裂、ダウン症候群、クルーゾン症候群など先天異常やシンドロームによる咬合異常や、顎変形症の患者さんで保険での矯正治療を希望される場合は歯科矯正診断料と顎口腔機能診断料の算定できる医療機関に通院してください。