軽症の睡眠時無呼吸症候群
矯正相談ラッシュが一段落し、たまっていた仕事を少しずつかたづけていこうと考えていました。
ところが、意外にも今週に入って睡眠時無呼吸症候群の患者さんが立て続けにいらっしゃいました。
睡眠時無呼吸症候群の治療は一般的には耳鼻科や呼吸器内科での治療になりますが、
軽症のものについては、耳鼻科や呼吸器内科からの紹介状があれば歯科でも治療をしています。
具体的にはマウスピースによって気道を広げ、就寝中の呼吸の状態を改善するというものです。
矯正歯科医は機能的矯正装置を良く用いていますので、睡眠時無呼吸症候群のマウスピースによる治療にも対応しやすいです。
軽症の患者さんはマウスピースでいびきがほとんど消える人もめずらしくなく、日中眠気がほとんどなくなる人が多いです。
紹介状をお持ちの場合保険で治療できますので、マウスピースを用いた治療を希望される方は耳鼻科や呼吸器内科に一度ご相談ください。
明日は休診日ですが、技工がまた増えたので休日出勤ですね。
Green Pillow
Green Pillowってご存知でしょうか?
睡眠時無呼吸症候群の潜在的な患者数は国内に推計300万人いるといわれているそうです。
しかし、実際に検査を受けられた方は20万人程度にすぎず、睡眠時無呼吸症候群になっていることを知らずに日常生活に支障をきたしている人が多いと考えられます。
なるべく潜在的な患者さんを減らすため、睡眠時無呼吸症候群のことを知ってもらい、疑われるときは検査を受けてもらおうというキャンペーンです。
Green Pillowのサイトには睡眠時無呼吸症候群が疑われるかどうかの簡単なチェックも掲載されています。
ぜひ一度ご覧になってください。
扁桃(口蓋扁桃)肥大
今日は口蓋扁桃の肥大です。
かぜをひいてのどが腫れやすいひとはここが腫れてきます。
上の写真では左右の口蓋扁桃が大きくなっています。
口蓋扁桃が大きく肥大すると、飲み込みにくくなったり、呼吸しづらくなったりすることがあります。
また、あまりにも肥大が大きい時は、飲み込む時に少しでものどの通りをよくするために舌を前に出したり、呼吸しやすいように常に口を開けていたりする場合もあります。
こういった場合は歯並びやかみ合わせ、顔の形に影響します。
癖と歯列不正 4.猫背
今日は猫背の話です。
猫背と咬み合わせが関係あるの?
と聞かれそうですが、実は関係しています。
上の写真は私のものです。
私は猫背で、右が普通に座っている写真、右が背筋を伸ばした写真です。
猫背の状態では体の中心よりも頭が前に出ています。
このことから英語で猫背をForward head postureといいます。
普通、首が前に傾斜し、頭が前に位置すると顔は下を向きます。
しかし、猫背の人はその状態で前を見るので、首の前の部分がつっぱります。
上の右の写真のように、猫背で前を見ると(頭を上に向けると)、あごが筋肉によって後下方に引っ張られます(青の矢印方向)。
小さいころから姿勢が悪く、常に猫背で椅子に座っていると、下あごは筋肉によって後下方に引っ張られ続けるのです。
その結果、下あごの前への成長は阻害され、上顎前突(出っ歯やあごが下がった状態)になります。
私がそうです。
大人になるとあごは成長しないので、
子供のうちから姿勢を整えて座る習慣を付けることが大変重要です。
下あごがないと、見た目もさることながら、太るといびきをかいたり、睡眠時無呼吸症候群のリスクもあがります。血圧も上がりやすくなります。
姿勢を正して座るように心がけましょう。
白鵬
昨日、白鵬関が稀勢の里関に敗れ。連勝記録がストップしました。
記録更新を見たかった半面、稀勢の里関がよく連勝を止めたという気持ちもあります。
白鵬関は入門当時はまだまだ体も小さく、16歳頃の身長175cmは、体重68kgでした。
よく食べ、よく練習することでどんどん体が大きくなっていったそうです。
現在は身長192cm、体重154kgだそうです。
しかし、体が大きくなって、相撲が強くなる反面、大関昇進前に睡眠時無呼吸症候群をわずらっていました。
今の相撲界で白鵬関の力が抜きん出てていますが、そのころの白鵬関は負けることが多かったです。
2006年に睡眠時無呼吸症候群と診断され、C-PAP(寝るときに鼻から空気を送り込み、呼吸を助ける装置)を装着するようになり、よく眠れるようになったそうです。
以降は負けることが少なくなりました。
白鵬関のような身体能力抜群な人でもしっかりと眠ることができなければ力を発揮することができないのです。
朝なかなかすっきりと起きられない人、夜の眠りが浅い人は睡眠の質が悪い場合があります。仕事、学業、運動にも悪影響が出ている可能性があります。一度、耳鼻科や呼吸器内科を受診されてみてはいかがでしょうか。
睡眠時無呼吸症候群と矯正治療 4.成人の場合
成人の睡眠時無呼吸症候群の場合です。
成人で気道の閉塞によって睡眠時無呼吸症候群をきたすのは、肥満、加齢による気道周囲の筋の弛緩、あごが小さい、飲酒などが挙げられると思います。
こどもに比べると、扁桃の肥大は少ないと思います。
治療は、重症例には鼻マスク(CPAP)です。
併せて、肥満の人には食事療法が取られるでしょう。
軽症の人や、あごの小さい人では口内装置が選択される場合があります。
大人の場合は、こどもと違い口内装置を入れてもあごの大きさが大きくなることはありません。
ここで話は少し変わりますが、以前ブログの中で、成人のあごの骨の大きさや形の異常でかみ合わせの不整があるかたは、保険で矯正治療が可能(外科的矯正治療)であると書きました。矯正治療と保険 3. あごの手術が必要な矯正治療 – 宮崎の矯正歯科医
この保険適用の矯正治療の中には、下あごが小さくてかみ合わせの不整がある場合で、食べる・話すなどの機能に異常がある場合も保険が適用されます。
下あごを前に出す手術と矯正治療を組み合わせた治療になりますが、この治療を行った患者さんでは気道が広くなることが確認されています。
睡眠時無呼吸症候群とは一見なじまない矯正治療ですが、外科的矯正治療を行えば顔や歯並びなどの見た目の改善、食べる・話すなどの機能の改善だけでなく、睡眠時の呼吸の改善も得られることがあるのです。
成人の睡眠時無呼吸症候群の患者さんで、下あごの小さいかたは矯正専門の歯科医院を一度受診されてはいかがでしょうか。
睡眠時無呼吸症候群と矯正治療 3.こどもの睡眠時無呼吸症候群の治療
こどもの睡眠時無呼吸症候群の治療です。
まず、耳鼻科や呼吸器内科を受診し、検査を受けます。
重症の場合は鼻マスク(CPAP)をつけるよう指導されるかもしれません。
また、原因別の治療としては、肥満の場合は体重のコントロールが必要になります。
扁桃肥大が原因のときは、扁桃を摘出する場合もあります。
下あごが小さい場合は下あごを前に出す口内装置の適用となり、歯科医院へ紹介されるでしょう。
この最後に挙げた口内装置は、下あごを一時的に前に出す効果があるだけではありません。
成長期のこどもに長期間適切に使用させると下あごの成長の促進が期待できるのです。
下あごが成長すれば、下あごが小さいことによる気道の狭さが根本的に解消されます。
下あごの成長のコントロールは非常にデリケートで、適切にコントロールしないと、あごの先が逆に下がってしまう場合もあります。
矯正専門の歯科医院や、小児の矯正治療に力を入れている歯科医院で治療されるのが良いでしょう。
続きます。
睡眠時無呼吸症候群と矯正治療 2.こどもの睡眠時無呼吸症候群
こどもで睡眠時無呼吸症候群と言われると、「こどもでもあるの?」と思われるかもしれません。
こどもの場合、大人にくらべ扁桃が大きいです。
そのため、下あごが小さいこどもや、少し肥満傾向にあるこどもでは睡眠時無呼吸症候群になっている場合があるのです。
夜にいびきをかいているこどもで、朝起きられないとか、昼間居眠りばかりしている場合は睡眠時無呼吸症候群を疑ってみてはいかがでしょうか。
続きます。
睡眠時無呼吸症候群と矯正治療 1.睡眠時無呼吸症候群とは
最近、睡眠時無呼吸症候群のかたの事故のニュースが新聞やテレビで取り上げられています。
睡眠時無呼吸症候群は寝ている間に呼吸が止まったり、呼吸しにくくなったりする病気です。
太っている人、年配の人に多い病気で、放置すると事故の危険性が高くなるだけでなく、高血圧、心疾患、脳血管疾患など、様々な病気を引き起こすことが知られています。また、朝起きられない、昼間眠いなど日常生活に悪い影響を及ぼします。
睡眠時無呼吸症候群は大きくは2種類の原因に分類され、脳からの信号がうまく伝わらない場合や、息の通り道である気道が狭くなっている場合があります。
大部分は気道が狭くなることで呼吸しづらくなっているようです。
気道が狭くなる原因は様々で、肥満によって気道周囲に脂肪がついた場合、お酒を飲んで気道周囲の筋肉が弛緩したり、扁桃肥大で気道が狭くなっている場合、下あごが小さくて気道が狭い場合、舌が大きくて舌の付け根が後ろに下がって気道を狭くしている場合などです。
続きます。