埋伏歯と根吸収の診断
埋まったままで生えてこない歯を埋伏歯といいます。
埋伏歯の状態を把握するときに重要なのは、
どこにあるか
と
周囲の歯に及ぼしている影響
です。
ともに普通の歯科医院に置いているX線撮影装置で撮った写真で診断できることもありますが、CT撮影しないと判断がつかないことも少なくありません。
このレントゲンは私の歯科医院で撮影したものですが、左上の犬歯が斜めに生え、左上の前から2番目の歯と重なっています。
2本とも形が追えるので、少しずれていることはわかりますが、2番目の歯の根尖の形はやや不整な状態に見えますがはっきりしません。
違うレントゲンを撮って見ると、
2枚のレントゲンから左上の犬歯のほうが外側にあることがわかりました。
実際に口の中を触ってみても手で触れます。
ここまでは普通の歯科医院でも判断可能なところですが、CTデータを見てみると、
犬歯によって2番目の歯の根尖がわずかに吸収されていることがわかります。
これはCTを撮影することによってはじめて判断ができるものです。
歯科用のCTがもっと手頃になると良いなとつくづく思います(欲しいなー)。
8月終了
診療時間終了後に書いています。
8月の診療が終了しました。
夏休み最後の駆け込み相談が多かったため、最後は大変でした。
で、9月の予定表を見てみると、スカスカです。
まあ、のんびりと先延ばしにしていたタブレットPC用の患者説明資料作成をしようかなと思っています。
あごの手術が必要な骨格性下顎前突
骨格性下顎前突は上あごや下あごの形、大きさの不正によって下あごが上あごよりも前にずれているものです。
程度が軽ければ矯正治療で十分に改善しますが、重症のものでは手術を併用した矯正治療を行わないとかみ合わせの改善が困難になります。
骨格性下顎前突の患者さんでは低年齢の間から矯正治療を行うと骨格の不正の改善が見込めますが、小学校高学年以上では年齢に従って改善効果が見込めません。
特に思春期の身長が伸びる時期に差し掛かると下あごはどんどん大きくなるので、骨格性の下顎前突が悪化することが多いです。
最近では骨格性下顎前突の子供に関しては親御さんが低年齢から矯正相談に来られるケースが多いため、小学校高学年から中学・高校生ぐらいの骨格性下顎前突で手術が必要なケースはかなり減っていると思います。
私の歯科医医でも開院してからで見ると、手術が必要な骨格性下顎前突と診断したのは7人で、内訳は成人6人に対し、中学生1人です。
中学・高校生の手術が必要な骨格性下顎前突の患者さんが減る一方で、以前だとあまり治療をしなかった年齢層の方が増えています。
矯正に対する一般の方々の意識の変化がうかがえます。
埋伏歯の矯正治療
最近立て続けに埋伏歯の相談を受けました。
埋伏歯というのは、何らかの以上により骨の中に埋まったままの歯のことです。
埋まっている原因は様々で、生えてくるスペースがないとか、生える方向が悪いとか、生える力が無い、骨とひっついているために動かないなど様々です。
骨とひっついていなければ動く可能性もありますが、埋まっている歯や周囲の状況によっては動かせない場合や、歯根に悪影響が出る場合などもあります。
また処置に関しても、待っていたほうが良い場合、すぐに対処しないといけない場合、いつ対処しても良い場合など様々です。
埋伏歯の矯正治療を考える場合、
①今どういう状況か
②放置するとどうなるか
③動かす時期はいつか
④動かすための外科処置(歯列のどちらからのアプローチが良いのか)
⑤動かすための装置の選択と牽引するためのメカニクス
⑥動かすメリットデメリット
などを考慮して計画を立てることになります。
深く埋まっているときや方向が悪いときは矯正治療で動かす負担が大きいため、抜歯を選択することも多いです。
なかなか歯が生えてこないとき、歯が生え変わらない場合は要注意です。
しかるべきところで見てもらうことをお勧めします。
矯正の相談回数
子供さんの矯正治療の相談の時、お母さんがいっしょに来院されることが多いです。
その場合、治療の概略をお母さんに説明することになりますが、
家に帰ってお父さんと相談されて治療をするかどうか決めるいうことが多いです。
その時、もしこちらが説明した内容についてお父さんに正しく説明できないときは、私の歯科医院では無料でもう一度説明しています。
子供の矯正治療の場合、家族のサポートがなければあまりうまく進みません。
御家族みんなが納得して治療をすることが矯正治療の成功につながると考えています。
説明や相談が必要な場合は何度でも行いますので、お気軽におっしゃっていただければと思っています。
8月終了まであと1週間
今日も変なタイトルです。
来週の水曜日が8月最後の日です。
子供たちの休みもあとわずかというころになり、矯正相談が増えています。
わたしの歯科医院では初診も予約を取っていただいています。
飛び入りの場合、時間が空いていればそのまま見させていただきますが、改めて予約を取っていただくこともあります。
通常の診療の患者さんがそこそこにいる中で、駆け込みの矯正相談が増えてきている状態です。
まだまだ余裕がある状態ですが、来週になるとどんな感じになるのかなと少し不安です。
飽和状態にならなければいいな(たぶん杞憂でしょうが)。
矯正治療に伴う抜歯はなるべく歯を動かし始める直前に(抜歯したまま放置しない)
標語のようなタイトルでお送りします。
なぜこういったタイトルかというと、
矯正治療で抜歯を行い、抜歯によってできた隙間に歯を動かす場合、
抜歯してなるべくすぐに歯を動かしたほうが歯の動きがスムーズだからです。
また、歯を抜いた隙間に歯を動かさずに放置すると、抜いた隙間の部分の骨が少なくなります。
歯を動かすときに骨が少ないと歯の動きが妨げられます。
ということで、抜歯した隙間に歯を動かす予定があるときは、歯を抜いたまま放置せず、すぐに歯を動かせるように、(特別な理由が無い場合は)患者さんは受診、歯科医は装置装着をするようにしてください。
噛み方
矯正相談希望でこられた初診患者さんにはすべて聞いている質問があります。
一口で何回噛んでいるか
と
右噛み、左噛み、両方の奥歯で噛むのどれか
ということです。
そのときに、両方の奥歯で噛んでいると答える人が多いです.
通常、両方の奥歯でよく噛んでいる人は適度に歯が磨り減っているのですが、
両方の奥歯で噛んでいると答えながら、歯がとがったままの人も多いです。
こういった人たちの噛みかたは、
右で数回噛んだら次は左で数回噛むというような、両方の奥歯を交互に使って噛んでいるのではなく、
あごを上下に動かしながら、両方の奥歯で食べ物をたたきつぶすという噛みかたです。
このため、横方向に食べ物をすりつぶす動きになっていないため、歯はすりへらず、とがった部分がそのまま残っています。
たたきつぶす動きだけでは歯並びが広がらず、前歯が前に出たり、がたがたした歯並びになりがちです。
右で数回噛んだら次は左で数回噛むというような噛みかたをするように心がけてください。
インダイレクトボンディングのブラケット脱落の原因
今日の内容はマニアック(歯科医師向け)です。
今まで色々と思考錯誤しながらインダイレクトボンディングを行っていました。
プレスするシート
模型に仮着する材料
ボンディング材
オクルーザルストップの付与
インダイレクトでつける部位
一度に何歯つけるか
など、
一番最初に教えられた方法と比べると、今の方法は全く変わっています。
最初のころはとにかく脱落が多かったです。
防湿がうまくいってないのではとか、
ボンディング材がわるいのではとか、
シートの材料が悪いのではとか考えていました。
脱落が少なくなった今から振り返ると、脱落した原因は、
ほとんどが圧接不良によるブラケットの浮き上がりだと思っています。
いかにすべてのブラケットを均等に圧接させるか、ここにインダイレクトボンディングの成否がかかっているといって良いかと思います。
欠品
口の中の粘膜を、矯正装置とこすれて口内炎をつくらないように保護するワックスがあるのですが、今まで使っていたメーカー(トミー・インターナショナル)のものが欠品のようです。
粘膜保護のみならず、
インダイレクトボンディングのトレーを作るときにブラケットのアンダーカットを埋めるのに重宝していたのですが・・・
他のメーカーのものを使わないといけないかもしれませんねー。