学会参加→講習会参加
先週は5日間休診にして、矯正歯科学会とスポーツデンティスト養成講習会に行ってきました。
矯正歯科学会は18日から20日まで福岡で、
スポーツデンティスト養成講習会は21、22日の2日間東京での受講でした。
宮崎に戻ると運賃が高くなるので、福岡からそのまま東京へ行くことにしました。
スポーツデンティスト養成講習会は今回が最後の日程。
東京医科歯科大学の学生実習室をお借りしての実習でした。
実習は自分の歯型を使ったマウスガードの製作。
シングルレイヤーで、吸引型の成型器を使用して製作しました。
シングルレイヤーの製作、吸引型の成型器の使用は約10年ぶり。
できあがりはこちら。
つけるとこんな感じ(閲覧注意)。
むさくるしい口元ですみません。
最近の技術革新
科学技術の進歩によって、治療のやり方がどんどん変わってきています。
矯正治療も同様で、従来は歯形をとって、模型を作り、模型の上で装置を作っていました。
歯形をとることを私たちは印象採得と言っています。この印象採得は、吐き気を催しやすい患者さんにはかなり苦痛なもので、吐くのをこらえてくれる患者さんもいますが、吐かれることも少なくありません。
印象採得せずに、装置を作るために開発されたのが口腔内用のスキャナーです。上下の歯を約15分程度でスキャンするようです。マウスピース矯正(アライナー矯正)の一つであるインビザラインは、このスキャンしたデータを直接オンラインで送って装置を作ることができます。
欲しい装置ですが、値段がもっと下がるまでは手が出せません。
先天欠損
今日から夏季休暇をいただいています。
とはいえ、溜めてしまった仕事を少しでも減らすため、朝からパソコンと向き合っています。
特に、子供の1年ごとの成長確認の検査、新患さんの治療計画立案の検査の資料が溜まっているので、ずっとトレースをしてます。
今手元に新患さんの検査資料が5人分あるのですが、5人中4人に歯の先天欠損があります。
最近、先天欠損の人が多いなとは思っていましたが、ここまで多いとは(たまたまでしょうが)と思いました。
すべての患者さんの歯並び、かみあわせが床装置と非抜歯で治せるということはありません!!
少し感情的なタイトルです。
今まではセカンドオピニオンを求められる患者さんや、引越し以外で転医を希望される患者さんは年に1人程度でした。
5月ころから他院で矯正治療中の患者さんの相談が激増しています。
それらの患者さんはすべて治療方針は同じで、成人の不正咬合を床装置で拡大、非抜歯で治療するというものです。
初診時には必ず口の中を見せていただきますが、なるほど、非抜歯で治療できる患者さんもいらっしゃいます。
しかし、非抜歯でも床装置での治療は無理という人ばかりでした。
また、非抜歯で治療自体絶対に無理とか、無理に非抜歯で治療すると口元が大きく出てしまう、奥歯でかめなくなってしまうという患者さんもいらっしゃいます。
それらの患者さんには床矯正での治療が無理な理由、非抜歯での治療が無理な理由を説明しています。
昔読んだマンガに「1升のますに2升の酒は入らない」というせりふがありました。無理なものは無理なのです。
カラーレジン
3月の学会で床装置用のカラーレジンを購入しました。
今まではニッシンのピンクだけで作っていましたが、患者さんに選択してもらえるように(ブログ主が作っていて飽きないように)カラーバリエーションを増やしました。
今度色を混ぜてオレンジやパープルが作れるか、試してみようと思います。
トレース
矯正の治療計画を立案するとき、レントゲンのトレースをします。
昔はレントゲンフィルムの上にトレーシングペーパーなどを貼り、鉛筆でトレースしていました。
レントゲンのデジタル化が進み、フィルム上に現像しなくなり、現在はモニター上に表示しています。
成長期のお子さんの治療で、成長の状態を把握するためにどうしてもトレースをしたいのですが、モニター表示しているレントゲンのトレースをAdobe IllustratorやACDのCanvasのようなドローソフトでトレースしていました。
マウスで線をプロットしているとどうしても操作性が悪く、以前のレントゲンフィルムのトレーシングペーパーを用いたトレースのように表示した画像上に直接ペンでプロットしたいと思っていました。
最近WacomからCINTIQというモニター表示できるペンタブレットが出ているのを知り、購入してみました。
モニター表示されたレントゲンの上で、直接ペンで線を書くことができるので、マウスでプロットするよりもはるかに操作が容易になりました。
13インチのものを買いましたが、拡大縮小する手間が面倒なので、レントゲンを大きく表示できる27インチのものが欲しくなってしまいました。
歯の位置の入れ替わり
久しぶりに矯正。
数年に1回ほど、歯の位置が入れ替わっている(前の歯が奥に、奥の歯が前に)患者さんにお目にかかります。
この患者さんの左上の歯は、犬歯が奥にずれて、第一小臼歯の後ろの外側から生えてきています。第二小臼歯は、第一小臼歯と第一大臼歯の間の隙間の部分に埋まっている状態です。
レントゲンで見て、犬歯の根自体が第一小臼歯より後にあったので、無理に前に動かさずに、乳犬歯を抜歯して第一小臼歯を前に動かし、第一小臼歯、犬歯、第二小臼歯の順番で並べました。
早く並べることができますが、見ていて違和感があります。
この患者さんは右上の犬歯と第一小臼歯の順番が入れ替わっています。
レントゲンで見ると犬歯と第一小臼歯の根の位置は、前後的にほぼ同じ位置。
順番どおり並べるか、そのまま配列するか悩みましたが、順番どおり入れ替えて並べなおしました。
結構時間がかかってしまいましたが、少しすっきりと見ることができます。
状況に応じてどちらを選択するか考えていますが、見た目的には順番どおり並んでいる方がいいなと思います。
夏休みが終わって・・・
夏休みが終わって、1週間ちょっとたちました。
夏休みは矯正歯科医にとって忙しいシーズンで、今年は昨年よりさらに忙しくなりました。というわけで、2ヶ月間更新を放置していました。
夏休みが終わった途端、予約はガラガラ。
祭りの後の寂しさを感じています。
少し、時間に余裕ができてきたので、1週間に1回は更新できればと思っています。
広げて、前歯を圧下して、広げながら下あごを前に成長させて・・・
子供の矯正治療を行っていくと、治療が進行するにつれてどんどん顔が変わっていきます。
もちろん、成長による変化もあるのですが、矯正治療の介入によって変化していく部分も大きいです。
治療開始から3年。
その間、上下の歯列を広げ、
前歯を圧下し、
上下の歯列を広げながら下顎の前への成長を促しました。
顔を見てみると、
口が閉じにくいため、口をすぼめていたのが、
口をすぼめなくなり、
口を閉じるときにできていたあごの梅干状のしわがなくなりました。
まだ治療途中ですが、ここまでよくがんばってくれたなと思います。