上下の前歯の距離と口元の印象
上の前歯と下の前歯の間の距離や離れ方は口元の印象に大きな影響を与えます。
上の写真は、
上と下の前歯の位置関係が良好な人、
上の前歯と下の前歯が水平的に離れている人、
上の前歯と下の前歯が垂直的に離れている人の口元と歯の写真です。
水平的な距離が大きいと上くちびるが突出し、下くちびるが反り返り、あごに梅干しのような筋肉の緊張が現れることが多いです。
垂直的距離が大きいと、口が閉じにくいのであごに梅干しのような筋肉の緊張が現れます。
歯並びはこのようにして口元の印象にも大きく影響します。
舌の癖
このブログにも何回か書きましたが、
舌は何もしていないときには上あごにひっついている状態が良い状態です。
上あごにひっつかずに、下に下がっていると色々な歯並びの不正や、発音に異常が現れます。
これは安静時に舌が上あごについている正常な人と、舌が上あごから離れて常に下にさがっている人のレントゲンです。
上のレントゲンは上あごに舌がくっついているため、上あごと舌の境目がわかりませんが、下のレントゲンのように舌が下がっている場合は舌のかたちがくっきりと見えます。
本日の技工
今日も診療の合間に技工をしています。
ユーティリティーアーチのインダイレクトボンディング用コア、
マルチブラケットのインダイレクトボンディング用コア、
タングクリブ
少し貯めてしまっていたことを後悔しています。
勤務医時代の夏休みの思い出
夏休みが始まったお子さんも多いかと思います。
大学に勤務していたころは子供の患者さんが多かったので、夏休みに入るとかなり忙しくなっていました。
特に、鹿児島大学に勤務していたころは離島から通院している患者さんも多かったので、なるべく学校を休ませなくても済むように、夏、冬、春休みに装置の調整や検査、経過観察を入れるようにして、授業がある間はなるべく通院しなくて済むような治療をしていました。
また、離島以外の地域から来る患者さんの場合、普段大学の診療時間に通院すると学校を休まないといけないため、夏休みが近付くとなるべく夏休み中に予約を取ろうとされていたのを思い出します。
今は離島のようにかなり遠くから通院される患者さんもいませんし、土曜、日曜も診療しているので、学校を休んで通院される患者さんも(恐らく)いらっしゃいません。
そのため、夏休みがものすごく混むということもなくなっています。
勤務医時代と今ではかなり違うなと思います。
上顎急速拡大装置
先日に続き、矯正装置についてです。
大学に勤務していた時によく使っていた装置に上顎急速拡大装置というものがあります。
文字通り、上顎を急速に拡大する装置で、装置の真ん中にあるネジを毎日回し、上あごの骨を広げていくものです。
上あごの真ん中には縫合という骨と骨のつなぎ目があり、子供の間は短時間で強い力をかけると縫合の部分で骨と骨を引きはがすことができます。
縫合が分離すると、左右に引きはがされた骨から骨が伸びてきて、再び骨と骨がひっつき、縫合が形成されます。
結果、上あごの歯列の幅が広がります。
開業してから子供の患者さんが少なかったので(大人には使用しない装置です)使う機会がなかったのですが、最近大人よりも子供の患者さんが増えてきたので立て続けに作りました。
しゃべりにくく、食べにくい装置なのでストレスがたまりますが、歯列を広げるという点では効果的です。
舌の癖を取り除くための装置
以前舌の癖をトレーニングで取り除くことについて書きました。
トレーニングをしっかり行ってくれれば良いのですが、やってくれなければなかなか噛み合わせが良くならないことがあります。
そういった場合は装置を使って無理やり舌の位置を覚えこませるといった方法をとる場合があります。
代表的な装置として
タングクリブがあります。
装着させられるとかなりストレスがたまる装置ですがよく効きます。
幼児期の前歯の打撲と永久歯の回転
小さい子供はこけるときにとっさに手でかばうことができません。
そのため、前歯をぶつけて歯がかけたり、折れたり、歯が骨の中に埋まったり、前歯が抜けたりすることがあります。
これらのけがをしてもその後の経過が良ければ良いのですが、時に次に生えてくる永久歯に影響が出る場合があります。
これはとある小学生の前歯の断層写真です。
1歳6か月の時にこけて前歯がかけたそうです。
その後前歯の生え換わりの時期に隣の前歯は普通に生え換わったのですが、かけた前歯の部分はなかなか生え換わらないので、かかりつけの歯科医院でレントゲンをとったところ、歯の向きがおかしいということで紹介されてきました。
断層写真を撮ってみると、永久歯が本来の方向から約90度回転しています。
乳歯の打撲はこのように次に生えてくる永久歯に影響する場合があります。
けがをした時だけ歯科医院で見てもらうのではなく、できれば生え換わりまで定期的に歯科医院で経過を見てもらうことをお勧めします。
口元の印象と前歯の位置
前歯の位置は矯正治療のゴールを考える上でとても重要な役割を果たします。
口元が出ていることが気になる人では、前歯の位置を大きく内側へ入れて仕上げると口元がすっきりとした印象に変わります。
ただ歯を並べるだけでなく、並んだ後の口元の印象まで考えて治療計画を立てることが、矯正治療には重要です。
ヘマ
朝からインダイレクトボンディング用のコアを製作していました。
慣れた作業なので、手早く終えて午前の診療に取りかかろうと思っていたら、
ブラケットの角の部分をワックスでカバーするのを忘れ、そのままシートをプレスしていました。
それも上下とも。
ブラケットがはずれないように、なるべくそっとシートをはがしてみましたが、4つほどとれてしまいました。
付け直しです。
2時間はロスしました。
慣れた時が失敗しやすいとつくづく思いました。
歯周病の治療と矯正
歯周病の患者さんに対し、歯周病の治療の一部分として矯正治療を行うことがあります。
歯周病は歯を支える骨、歯根膜、歯肉など、歯周組織の疾患で、その多くは口の中の細菌が産生する毒素によって歯周組織に炎症が生じたものです。
歯周病治療の成功のカギになるのがブラッシングによる細菌の除去です。
ところが、下の写真のように歯並びが悪い場合、歯の周囲の細菌をすべて取り除くのが困難な場合があります。
こういったケースでは、歯周病の治療がある程度進んだ状態になってから、矯正治療で歯並びを整えることがあります。
歯並びが改善すれば、歯磨きが容易になり、歯周病治療が奏功しやすくなります。
歯周病をお持ちで、歯並びの悪い方は矯正治療もご検討ください。