虫歯で死亡 -アメリカ
Livedoorから
以下引用
【9月7日 GlobalPost】米オハイオ州シンシナティの男性(24)が8月31日、歯の感染症で死亡した。同市の大学病院医師が語った。
死亡した男性、カイル・ウィリスさんの遺族は、米NBCテレビの系列局WLWTテレビに対し、ウィリスさんは2週間前に親知らずが痛み始めたと語った。歯科医は、親知らずを抜歯する必要があると告げたが、ウィリスさんは当時無職で無保険だったため、抜歯をしなかった。
その後ウィリスさんは頭痛と顔のはれに悩まされ、緊急治療室に搬送された。
おばのパティ・コリンズさんは、WLWTテレビの取材に「(医師らは)抗生物質と痛み止めを与えた。でも、ウィリスは抗生物質を買うお金がなかった。そこで痛み止めだけもらった。でも彼に必要なのはそっちではなかったのよ」と語った。
痛み止めは効果があったものの、感染は拡大し、最終的にウィリスさんの脳に達した。
「歯科医に行って歯痛を治療しておくべきだった。そうすればこんなことにならなかった。みんながその教訓を得たわ」と、コリンズさんは語った。
米カリフォルニア大学サンディエゴ校の歯科医、アービン・シルバースタイン氏は、ABCテレビに対し、「歯の病気が深刻な症状をもたらすことを人びとは知らなさすぎる。問題は目で見える部分だけではないんだ。多くの人が歯の疾病で命を落としている」と語った。
カイル・ウィリスさんは、米有名ミュージシャン、ブーツィー・コリンズのおい。(c)News Desk/GlobalPost.com/AFPBB News
数年に1回、アメリカで虫歯が悪化して死亡したというニュースを見ます。
以前は子供のニュースでした。
虫歯は感染症なので、放置すれば広がります。
時々数年間放置という人も聞きます。
早めに対処したほうが良いですよ。
歯科の医療訴訟
昨日届いたJCOから
「H22 医事訴訟新規件数は1割増、歯科は72件。審理期間は短縮」
平成22年の新規の医療訴訟は1089件で、内科が最も多く、次が外科、整形外科、産婦人科の順で、歯科は5番目72件だったそうです。
平均の審理期間は歯科では17.4ヶ月だったそうです。
医療全体でも新規訴訟は1昨年に比べ約10%増加しているそうです。
歯科では訴訟になったものが72件と歯科における年間の治療件数から考えればわずかですが、訴訟にならずともトラブルになったケースはかなり多いものと考えます。
また、一旦訴訟になってしまえば平均約1年半の審理が待っています。
患者、医療者ともにかなりのストレスになることは想像に難しくありません。
いかにトラブルを防ぐかということが本当に重要であると再認識しました。
咬み合わせと転倒事故経験
本日手元に届いたスポーツ歯学という雑誌から、
「咬合状態と転倒事故経験の関連性に関する調査研究」という論文に、
一般の成人に対し、「奥歯でしっかり噛めますか」という質問を行い、「はい」と「いいえ」と答えた人たちを比較すると、「はい」と答えた人は転倒事故が少ない傾向にあったということが書いてありました。
噛めることは体の機能に対して重要な働きをしており、高齢者で歯がなくなって噛めなくなると体のバランスが低下するということや、歯がない人に入れ歯を入れると歩くスピードが早くなりや歩幅が広くなるという報告もあります。
年をとってからもよく噛めるようにすることがいかに重要かを再認識させられました。
虫歯、処置済みの歯の数
最近子供の患者さんの比率が上がってきています。
立て続けで子供の口の中を見ていて思うのが、最近の子供の口の中の虫歯や、虫歯治療後の歯の数が減ってきているなということです。
実際にデータでも示されていますが、私が矯正歯科に入局したころは子供の患者さんの口の中には虫歯や処置済みの歯が大体数本ぐらいはあり、逆に虫歯が1本もない患者さんが少なかったように思います。
現在、私の歯科医院に受診する子供の患者さんは虫歯や虫歯になって処置した歯が無いのが普通といった状態です。
矯正治療に子供をつれてくる保護者のかたの口腔衛生に対する意識が高いのと、私たちの先輩の歯科医師の努力のたまものかなと思っています。
あと10年もすれば成人の矯正患者についても虫歯や虫歯になって処置した歯が無いのが普通といった状態になればと思っています。
噛む回数
普段の食事の噛む回数は?
という話になると、最近の子供はあまり噛まないという意見を良く聞きます。
普段の食事の噛む回数について、
戦前は1回の食事の平均時間は22分間、だいたい1420回くらい噛んでいたそうです。
現在は食事の平均時間(食べている時間)は11分程度、噛む回数は620回です。
現代の食事は戦前にくらべ、栄養価は高く、それによって平均寿命は延びているのはたしかですが、噛まなければ飲み込めない食材が多いため、あごの発育という点では戦前の食事のほうが適しているかもしれません。
人工的な歯の製作
昨日の朝日新聞のニュースから
歯のタネから成熟した歯を作り出し、移植した口の中でも正常に機能させることに、東京理科大の辻孝教授と大島正充助教らのチームがマウスを使って成功した。13日の米科学誌プロスワン(電子版)に発表した。
辻教授らは、東京医科歯科大や東北大などとの共同研究で、上皮細胞と間葉細胞という2種類の細胞を組みあわせて歯のタネになる歯胚(しはい)を作製。プラスチック製の2.5ミリの小さな枠に入れてマウスの体内に埋め込んで培養し、歯周組織をともなった歯にまで成熟させた。
その後、マウスの歯茎に移植したところ、移植後40日程度で周囲の組織になじみ、神経や血管もつながって定着。モノをしっかりかめて、かんだ時の刺激や痛みも感じることができるなど、正常に機能することが分かった。
今までの歯の培養の実験と違うところは、
上皮細胞と間葉細胞から歯胚を作ったところです。
歯胚から歯を作る研究は今までにもありました。
この場合、歯胚を使った研究の場合どこから歯胚を用意するのかが問題になっていました。
歯の再生が必要なのはどちらかというと年輩の人になるので、年輩のかたの場合、歯胚はすでに歯になっています。
この研究では上皮細胞と間葉細胞から人工的に歯胚を作りだしているので、年輩の方でもその人の上皮細胞と間葉細胞から人工的に歯胚を作り、歯を再生することが可能になるかもしれません。
今後の研究の発展によっては入れ歯やインプラントが世の中からなくなるかもしれませんね。
今後の展開が楽しみです。
九州地区生涯研修セミナー
今日は朝から九州地区生涯研修セミナーに出席しました。
セミナーは2講演あり、「口腔粘膜疾患の診断ポイント」と「欠損歯列の咬合を読む」という内容でした。
午前中に2時間の講演を2コマというのは結構疲れました。
歯周病の治療と矯正
歯周病の患者さんに対し、歯周病の治療の一部分として矯正治療を行うことがあります。
歯周病は歯を支える骨、歯根膜、歯肉など、歯周組織の疾患で、その多くは口の中の細菌が産生する毒素によって歯周組織に炎症が生じたものです。
歯周病治療の成功のカギになるのがブラッシングによる細菌の除去です。
ところが、下の写真のように歯並びが悪い場合、歯の周囲の細菌をすべて取り除くのが困難な場合があります。
こういったケースでは、歯周病の治療がある程度進んだ状態になってから、矯正治療で歯並びを整えることがあります。
歯並びが改善すれば、歯磨きが容易になり、歯周病治療が奏功しやすくなります。
歯周病をお持ちで、歯並びの悪い方は矯正治療もご検討ください。
平成20年度医療費マップ
平成20年度医療費マップという資料があります。
各市町村で国民健康保険の医療費がどうだったかを示す資料です。
この資料の中には歯科の医療費がどうだったかも示されています。
医療費は年齢構成によっても左右されるため、この資料には年齢補正をかけた場合どうなるかも示されています。
年齢補正されたデータによると、宮崎の歯科医療費は39位、最下位は沖縄でした。
トップ5は大阪、福岡、広島、兵庫、東京の順です。
ちなみに市町村単位で歯科の医療費が高いのは、
坂町(広島)
音威子府村(北海道)
青ケ島村(東京)
中頓別町(北海道)
奈義町(岡山)
の順で、
低いのは、
金山町(福島)
風間浦村(青森)
下北山村(奈良)
西米良村(宮崎)
北大東村(沖縄)
の順です。
坂町の歯科の医療費は金山町の約3倍です。
なぜ坂町はこれほど高くなっているのでしょうか。またなぜ金山町はこんなに低いのでしょうか。
興味があります。
歯学部・歯科大の定員割れ
歯科業界の印象は、昔は「儲かる」というものでしたが、現在は「ワーキングプア」と変わってきました。
特にここ数年はその印象が定着してきています。
全国の歯学部・歯科大の定員総数は2459人ですが、実際に入学したのは2158人(87.8%)にすぎません。
実際に入学した人数/入学定員総数を充足率といいますが、20年は96.9%、21年は92.4%、22年は84.7%だそうです。
23年は前年より改善しているように見えますが、実際には定員が129人減っているので入学者で比較すると34人減っています。
定員割れは例年は主に私立で見られましたが、今年は震災の影響を受け、東北大学の歯学部でも生じました。
特に原発事故のあった福島県にある奥羽大学では昨年より8.3%下落しているそうです。
このまま低下が続けば歯学部や歯科大学の整理が始まるかもしれません。