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2010.11.27

外科的矯正治療 7.術後の入院管理

手術後にあごの骨がずれるのを防ぐため、傷口の縫合が終わったあとに口が開かないように針金で上下の歯をしばること(顎間固定)があります。

以前はすべての手術で行っていましたが、最近は顎間固定をしない場合もあります。

顎間固定は数日から数週間まで様々で、骨と骨の止め方、後戻りのしやすさ、かみ合わせの管理の仕方に合わせて期間を決めていたりします。

顎間固定中は口を開けることができませんので、栄養補給、吐き気のコントロール、出血のコントロール、呼吸の管理などについて細心の注意を払って管理します。

顎間固定を解除した後はゴムやチンキャップを使用して、あごが後戻りしないようにコントロールします。

また、顎間固定中にあごの動きが悪くなっているので、顎間固定解除後は口を開ける練習を行います。

傷口に血が溜まらないように、手術後1~2日間傷口にドレーンを入れて血を吸い出します。

あまり出血しなくなってくるとドレーンを抜きます。

手術室から出てきた後は、水分のコントロールとして、点滴と尿管カテーテルがついた状態になっています。

出血の量、点滴で入れた量、尿として排泄された量を見ながら体の管理を行います。

尿管カテーテルは手術翌日くらいに抜きます。

栄養補給は、術後数日は鼻から胃に入れたチューブで流動食を採ることになります。

術後数日して、傷口がある程度良くなり、口から栄養が取れるようになると、奥歯と頬の間の隙間から流動食を採るようになります。

顎間固定を解除したあとは、おかゆから始めて、少しづつ無理をせず、普通の食事に変えていきます。

手術後の痛みは数日は座薬の痛み止めなどでコントロールしますが、大体は数日で痛み止めが我慢できる程度に治まってきます。

手術後は顔が腫れます

腫れる人はかなりパンパンに腫れます。中にはあまり腫れない人もいますが。

腫れているころは、痛みもあり、体もつらく、精神的に少しきついでしょうが、腫れは時間とともに落ち着いてきます。

手術後1~2日ほど冷やしながら患部を圧迫し、その後さらに数日は冷やさずに圧迫を継続してなるべく腫れないように管理します。

手術後の感染予防に抗菌薬を投与し、口の中の汚れは水流で洗い流します(ウォーターピック)。

手術後に唇の感覚が鈍くなったり、しびれが出ることがあります。

多くは数ヶ月以内に改善するのですが、長引く場合もあります。

しびれの解消にビタミン薬の服用することが多いです。赤外線照射、レーザー照射などを行うこともあります。

顎間固定を解除し、傷口がある程度落ち着き、抜糸ができるようになり(最近では吸収する糸を使って、糸をとらないこともある)、あごの位置が安定していることを確認して退院となります。