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2010.11.20

できるだけすぐに矯正治療を行いたいこどものかみ合わせ 2

すぐに矯正治療を行いたいこどものかみ合わせの2回目です。

 

こどもの受け口の場合、歯の傾きの異常によるものが多いです。

この患者さんは上の前歯と下の前歯で咬むことができます。

しかし、いつも咬んでいるところで咬んでもらうと、写真のように下の前歯が前になるように咬みます。

この状態を長期間放置するとどのようになるでしょうか。

上の図は長期間放置した場合の変化を表した模式図です。

左の黒の線が、咬むときに前歯が当たった時の状態。

左の青の線が、前歯の影響を考えないで咬みこんだときの状態です。

そのまま咬みこむと上の前歯と下の前歯が重なっています。

実際にはこのように咬むことができませんので、前歯をずらして咬むようになります。

真ん中の赤の線が、下の前歯が前にずれて咬みこんだときの状態です。

下あごは前にずれますので、あごの関節は本来の位置より前にずれます(矢印の方向)。

この状態を長く続けると、下あごの骨は本来の位置に関節を戻そうとするように形を変化させます。

右の緑の線が、下の前歯は前にずれたところで咬み、下あごの関節は本来の位置に戻った状態です。

結果、下あごの骨は赤の線から緑の線に大きくなってしまいます。

歯の傾きの異常による受け口が、下あごの骨の大きさや形の異常、つまり骨格的な異常による受け口になってしまいます。

一度大きくなってしまった骨は元に戻すことは、手術をしないかぎりできません。

このように上下の前歯の先で咬める受け口は、なるべく早期に治療することが必要になります。

上の患者さんの現在の状態です。

まだ治療中ですが、最初の時に比べ前歯のかみ合わせが改善し、下あごが後ろにさがりました。

こどもの受け口は早期に治療すれば良好な結果が得られることが多いですので、気付いた時にはぜひ相談してください。