ブログ

2011.03.23

フッ化物の虫歯予防のメカニズム

フッ化物を使用するとなぜ虫歯が予防されるのでしょうか。

フッ化物の虫歯予防は主に3つの働きによると考えられています。

1.歯の結晶に作用して、虫歯原因菌の出す酸に強い歯に変える
2.歯のエナメル質を強化したり、少し酸に溶かされた部分を元に戻す
3.虫歯原因菌の酸を出す活動を弱める
などです。

 

これを詳しく見ていきます。

歯の周囲に0.1~1.0ppmのフッ化物イオンがあると、虫歯原因菌によって酸が作られ歯の周囲の酸性度が強くなるとフッ化物イオンが歯が溶けだすのを抑制します。

そして、歯の周囲の酸性度が弱まり、中性ぐらいまで回復すると、溶けたエナメル質の結晶(ハイドロキシアパタイト)の部分をフルオロアパタイトという結晶となっておぎないます(再石灰化)。

このフルオロアパタイトは酸に強い結晶で、このような過程を経てフッ素の使用によって歯は酸に強い歯に変わります。

生えたばかりの歯は酸に弱く、虫歯になりやすい状態です。

時間とともに歯は酸に強くなっていく(エナメル質の成熟)のですが、フッ素は生えたばかりの歯にも早く作用してエナメル質を強化し、酸に対して強い歯に早く変ます。

虫歯は、原因菌が歯に付着し、糖質を分解し、酸を産生するために起こります。

フッ素は虫歯の原因菌が歯に付着すること、糖質を分解する酵素の働き、酸を産生することのそれぞれに作用すると考えられています。

また歯垢が付いている場合でも、口の中のフッ化物イオンの濃度が高いと、歯垢の中にフッ化物イオンが貯められ、歯垢の周囲が酸性になると、歯垢の中からフッ化物イオンが出てきて歯が溶けだすのを抑制したり、再石灰化を促進します。

 

このようにフッ化物には虫歯を効果的に予防する作用があります。

しかし、虫歯のない状態を維持するためには、口の中にフッ化物イオンがつねに存在する状態にする必要があります。

フッ化物を供給する手法は様々です。

どのように供給するかを考えられてみてはいかがでしょうか。