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2010.10.28

白いワイヤー

矯正治療で使われる材料は日々進歩し、昔の矯正治療とはかなり様変わりしています。

一昔前では、矯正治療といえば金属色のブラケットとワイヤーを用いるものでした。

その後、ブラケットにプラスチックやセラミックスが使われるようになり、目立たなくなってきました。

最近では白いワイヤーも比較的使われるようになっています。

今日は白いワイヤーについてです。

 

白いワイヤーは従来のワイヤーに白い樹脂や金属をコーティングしたものです。

白い樹脂をコーティングしたものはかなり歯の色に近いですが、しばしばコーティング部がはげたり、滑りが少し悪い感触があります。

金属をコーティングしたものはいわゆるメッキですので、白い樹脂をコーティングしたものに比べてかなりはげにくく、滑りも良好です。

しかし、白い樹脂の方が歯の色に近い印象を受けます。

コーティングの技術もどんどん進歩しているので、歯の白さで、滑りも良く、コーティングがはがれないワイヤーがいずれ出てくるかもしれません。

2010.10.27

宮大病院でDS

宮崎大学医学部附属病院でDS配信だそうです。

内容としては、

来院者向けの情報サービス配信

来院者へのアンケート

「ニンテンドーゾーン」で展開している体験版の配信

ニンテンドーWi-Fiコネクションの接続

「ニンテンドーDSiショップ」にアクセスしてDSiウェアの購入

ができるそうです。

かなり利用できる患者さんが限定されそうなのですが・・・

むしろ携帯を持っている人のほうがはるかに多いので、QRコードを待合に張って携帯用のページにアクセスさせたり、携帯にアプリを配信したり、グリーやモバゲーと提携するほうが利用者が広がるのではと愚考。

2010.10.27

矯正の力の強さと歯の動く速さ

今回は矯正治療の時に歯に加える力の大きさと歯の動く速さについてです。

私は大学の講義で矯正について学ぶ前は、矯正治療の時に歯を強い力で動かせば歯も早く動くと思っていました。

実際にはどうなのでしょうか。

皆さんの手に反対の手の指を強く押しあててください。

2秒ほど押した後に指を離すと、指の形に合わせて皮膚が白くなります。

これは、力が加わわった部分の皮膚の血行が悪くなったためです。

歯の周りの組織も同じで、歯に力がかかると歯が動いて押さる部分の血行が悪くなります。

押される力が強くなりすぎると、押された部分に血液が行き届かなくなり、壊死(えし)します。

一旦壊死すると、壊死した部分を取り除いてからでないと歯の周りの組織が作り変えられないので、歯の動きが悪くなってしまうのです。

歯を速く動かすには、あまり強すぎず適切な強さで力を加える必要があるのです。

2010.10.26

たばこと矯正治療

10月からたばこの販売価格が改正されました。

9月末にかけこみで大量に購入されたかたもいらっしゃると思いますが、これを機会に多くのかたが禁煙されたかと思います。

喫煙の体への影響については昔から色々いわれていますが、今回はみなさんにとってなじみが薄いと思われる矯正治療への影響について書きたいと思います。

喫煙による歯や歯茎への影響として、

・ニコチンによる毛細血管の収縮
・歯茎の血行の悪化
・歯を支える細胞の機能の低下
・免疫機能の低下
などが示されています。

喫煙される方は歯周病にかかりやすいということです。

矯正治療については、上に挙げたデータから歯の動きにも悪影響が出ると思われますが、ずばっと悪影響がありますよと言い切った論文は見つかりません。

ただ、歯を支える骨の改造には歯茎の血行は必要ですし、骨の改造には免疫機能もかかわっています。

悪影響が無いわけが無いので、いずれどこかの研究機関から「たばこの矯正治療への影響に関する研究」が出るでしょう。

追加ですが、

矯正装置が入った状態で喫煙すると歯にヤニがつきやすくなります。

白いブラケットを入れているかたはブラケットにもヤニがつきます。

見た目にも悪いので矯正治療中は禁煙されたほうが良いですよ。

2010.10.25

矯正治療中の歯の移動について

矯正器具で歯はどのように動いているのでしょう。

下の図は前歯を内側に動かしているときを表しています。

前歯を内側に押すと、根っこの先に近いところで歯は回転するように動きます。

その時、根っこの周りの骨にはぐっと押されるところ(図の+の部分)と、引き延ばされるところ(図の-の部分)ができます。

押されたところの骨が取り除かれて、引き延ばされたところに新しく骨ができることで歯が動きます。

この一連の過程が繰り返されながら、矯正治療は進んでいくのです。

2010.10.23

矯正治療と保険 3.あごの手術が必要な矯正治療

矯正治療に保険が適用される病気の2つめです。

・下あごが前に出ていて、極端な受け口になっている場合
・逆に下あごが小さくて、極端な出っ歯になっている場合
・上下の歯が奥歯だけでかんでいる場合
・あごが横に大きくずれている場合
など、あごの骨の大きさや形に異常があり、矯正治療だけではきれいに咬ませるのが難しい場合、咬ませても安定しないと判断される場合は、矯正治療にあごの骨の形を変える手術を組み合わせた治療(外科的矯正治療)を行うことがあります。

この外科的矯正治療では、矯正治療、手術ともに保険を適用することが可能です。

顔の変化だけで見れば美容整形じゃないのかと思われるかもしれません。しかし、外科的矯正治療では歯を支える上あごと下あごの位置や形を整えることで、咬む、飲み込む、発音する、呼吸するなどの機能を改善することを目的としています。あくまで、機能を改善するのに手術が必要なのであり、目的が違います。まあ、せっかく手術してまで治療を行うことを選択されているので、治療計画を立てる上でできるだけ見た目が良くなることも考えていますが。

外科的矯正治療では目的が機能の改善ですので、できるだけ短期間で治療するために歯を削ってかぶせものでかみ合わせを整えるということはしません。また、治療を行うにはあごの動きの検査や咬むのに使われる筋肉の検査が必要で、地方厚生局から指定を受けている歯科医院で検査が受けられます。

顔の形とかみ合わせが気になる場合は矯正専門の歯科医院に一度相談されてみてはいかがでしょうか。

2010.10.23

矯正治療と保険 2.厚生労働大臣が定める疾患とは?

保険が適用される病気は国にきっちりと定められています。今回は厚生労働大臣が定めた矯正に保険が適用できる疾患について書きます。

厚生労働大臣が定めた疾患とは、長くなりますが、

1.唇顎口蓋裂
2.ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む)
3.鎖骨・頭蓋異形成
4.クルーゾン症候群
5.トリチャーコリンズ症候群
6.ピエールロバン症候群
7.ダウン症候群
8.ラッセルシルバー症候群
9.ターナー症候群
10.ベックウィズ・ヴィードマン症候群
11.尖頭合指症
12.ロンベルク症候群
13.先天性ミオパチー
14.顔面半側肥大症
15.エリス・ヴァン・クレベルド症候群
16.軟骨形成不全症
17.外胚葉異形成症
18.神経線維腫症
19.基底細胞母斑症候群
20.ヌーナン症候群
21.マルファン症候群
22.プラダーウィリー症候群
23.顔面裂
24.筋ジストロフィー
25.大理石骨病
26.色素失調症
27.口・顔・指症候群
28.メービウス症候群
29.カブキ症候群
30.クリッペル・トレノーネイ・ウェーバー症候群
31.ウリアムズ症候群
32.ビンダー症候群
33.スティックラー症候群
です。

昔は矯正治療に保険が適用されていませんでした。1975年に唇顎口蓋裂を持った3カ月の乳児が母親に殺害されるという悲しい事件があり、当時の毎日新聞に記事が掲載されました。それがきっかけとなり、国会でも唇顎口蓋裂について取り上げられ、1982年に保険が適用されました。

その後、保険が適用される疾患は増えています。2年毎の保険の改正に伴い、保険適用の疾患は見直されているので、今後さらに増えると思われます。

何らかの症候群や先天異常があり、かみ合わせが悪いかたは、保険で矯正治療が可能な場合がありますので矯正専門の歯科医院に一度相談されてみてはいかがでしょうか。

2010.10.23

矯正治療と保険 1.保険で治療が受けられる場合について

矯正治療は保険がきかない。だから高くてできない。

良く耳にします。

これは一部分正しい認識なのですが、保険で矯正治療が受けられる場合があります。

少し長くなりそうなテーマなので数回に分けて書きたいと思います。

保険が適用される病気は国に定められています。保険で矯正治療が受けられる噛み合わせや歯並びは、特定の病気によって引き起こされたものでのみ保険が適用されるのです。

矯正治療に保険が適用される病気は、

1.厚生労働大臣が定める疾患によって引き起こされたかみ合わせの異常
2.あごの骨の大きさや形に異常よってひきおこされたかみ合わせの異常で、治療にあごの手術が必要なもの
の2つに大別できます。

これらの病気はそれぞれ地方の厚生局というところに届け出を行い、指定を受けた歯科医院でないと保険が適用されません。

看板などに矯正歯科と標榜していても保険で治療できない歯科医院もありますので、注意が必要です。

続きます。

2010.10.22

歯を白くする方法

今日の話題は歯を白くする方法です。

近年、ホワイトニングという言葉が広く認識されるようになりました。文字通り白くするということですが、歯のホワイトニングとは一体何なのでしょう。

まず、白くすることを考える前に、歯の色について考えます。歯の色については色々な要素があり、それらを挙げてみると、

1.歯の表面に付いた色
2.歯の詰め物やかぶせものの色の変化
3.歯の詰め物やかぶせものの周囲の虫歯
4.虫歯
5.歯の脱灰(白くくすんだ色になること)
6.歯の神経がだめになり、中から変色した時
7.歯自体が持っている色
などがあります。

それぞれの対処方法として、

・歯の表面に付く色は食事や飲み物などが原因で、歯科医院で磨いてもらえば落ちます。
・歯の詰め物やかぶせものの色の変化は、材料のプラスチックに時間とともに色が付いていくものです。色が気になるならやり直す必要があります。
・歯の詰め物やかぶせものの周囲の虫歯は、詰め物やかぶせものを取り外し、虫歯治療を行う必要があります。
・虫歯は言うまでもなく治療しないと色は消えません。また、詰め物やかぶせものも白いものを選択しないと白くなりません。
・歯の脱灰は、軽いものだとリカルデントやフッ素の使用で元に戻る場合もあります。脱灰が進んでいる場合は虫歯の治療に準じた対処方法になります。
・歯の中から変色した場合は、神経を抜いて中を掃除し、内側から漂泊する必要があります。
・歯自体が持っている色については歯の外側から漂泊していけば白くなります。

厳密にいえば上に挙げた対処方法すべてがホワイトニングです。このようにホワイトニングといっても様々な処置があり、その処置についてもさらに色々な方法があることを知っていただければと思います。

2010.10.20

矯正治療と抜歯

矯正治療で歯を抜く必要がある場合が多いです。抜歯はしないほうが良いということをみなさんも良く耳にすると思います。今回は矯正治療と抜歯について考えてみましょう。

矯正治療以外で抜歯が必要な場合として、虫歯が大きくなった、歯を支える骨がない、歯の周りの炎症がひどい、歯が途中で折れたなど、様々です。これらは病的な状態で、みなさんも抜きたくないけど仕様がないと思われるでしょう。逆に歯を残せる場合はできるだけ抜かずに残す治療を選択されると思います。

一方矯正治療で抜歯が必要ですと言われると、虫歯や歯周病になっているわけでもない健康な歯をなぜ抜くのと考えるでしょう。それは当然の反応と思います。

矯正治療で歯を抜くと説明される状況として、歯並びのでこぼこが大きい場合、前歯が飛び出している場合、生える予定の歯が並ぶスペースが足りない場合などです。どのケースも、それぞれの歯を適切な位置に動かすにはどこかにスペースが必要になります。

隙間を作る方法は、

1.歯を抜いて、そのスペースを利用する
2.歯並びの横幅を広げる
3.前歯を前に倒す
4.奥歯を後ろに動かす
5.歯の削って横幅を小さくする
などが考えられます。

つまり、歯を抜かなければ横幅を広げるか、前歯を倒すか、奥歯を後ろに動かしたり、歯を削ったりする必要が出てきます。横に広げるには限界があります。前歯を前に倒せば口元が前に出るので、口元を少し中に入れたい人、口元を前に出したくない人には選択できません。奥歯を後ろに動かすには限界もありますし、複雑な動かし方が必要です。場合によっては複数の装置が必要な場合もあるでしょう。歯を削るのにも限界があり、削りすぎると痛みが出ますし、歯が弱くなります。このように、それぞれの解決方法を選択できない、もしくは選択してもあまりメリットがない場合があります。

これらの解決方法を組み合わせれば歯を抜かずに並べることができると判断されたとき、次に考えるのが

・その治療でかみ合わせが安定するのか
・治療期間の長さは
ということです。

安定しなければ元に戻るので、適切な治療方針とはいえません。治療期間については、抜いた場合に何年、抜かない場合は何年というように患者さんに提示し、選択してもらうことになります。

このように、矯正歯科医は色々な条件を頭の中でシミュレートして抜歯が必要かどうかを検討しています。私たちも抜かずに治せるなら抜かない治療計画を選択します。

抜歯の必要性については患者さんそれぞれで異なります。もし、疑問に思われるのでしたら歯科医師にお尋ねください。

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