ブログ

2010.10.18

床矯正装置は万能か?

今回は本業の矯正治療について書いてみたいと思います。

矯正治療に使われる装置の一つに床矯正装置というものがあります。取り外しが可能な装置です。装置を製作する際に、特殊な技術が必要とか、特殊な材料が必要というわけではなく、比較的診療に取り入れやすい装置です。

取り外し可能なので、お口の中を清潔に保ちやすく、装置の破損によって口の中に傷をつくることも少ないです。痛い時は外して、来院してもらえば大丈夫だからです。

では、この装置ですべての矯正の患者さんを治療できるかというとそうではありません。使用できない例を1つ挙げてみると、大人であごの骨のずれが大きい場合、床矯正装置で最後まで治しきることは不可能です。

矯正歯科医は治療計画を立てるとき、見た目だけでなく噛む、話すなどの機能を改善するにはどう治療をすればよいか、良くなったかみ合わせをどうすれば長く維持できるかを考えます。こういう顔とかみ合わせすれば見た目だけでなく機能も良くなるという目標が定まってから、その目標に効率的に到達するための手順や装置を考えます。その時、一部の患者さんの治療計画では床矯正装置を選択することもありますが、すべての患者さんで床矯正装置を選択することはあり得ないのです。

私は床矯正装置を否定するつもりは全くありません。床矯正装置もよく使用します。ただ、床矯正装置で治せない場合や、床矯正装置を使うとデメリットの方が多い場合もあることもご了承ください。