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2011.09.26

扁桃肥大と下顎前突

鹿児島大学の同窓会は年1回会報を発行しています。

先日届いた会報には鹿児島大学歯学部で博士号をとった研究の中から特に優秀な研究についての抄録が掲載されています。

その要約を紹介に絡めて、扁桃肥大の話をしたいと思います。

 

Pharyngeal airway in children with prognathism and normal occlusion

The Angle Orthodontist, 81:77-82,2011

咽頭後壁から舌根部の後方部までの距離が大きい児童では下顎や下顎頭が前方に位置しているという論文です。

 

下顎前突は下顎自体が前方に大きいものと、下顎の大きさは正常で下顎の位置が前にずれているものがあります。

 

下顎の形態に異常が無く、下顎の位置が前方にずれているものは位置のずれを修正すれば下顎の位置が正常になると考えられます。

ただし、なぜ下顎が前に位置しているのかを考える必要があります。

この原因の一つとして扁桃の肥大が考えられます。

 

扁桃が過度に肥大すると、気道が狭くなります。

気道が狭くなると呼吸しづらく、呼吸するためには下顎を前に出す必要があります。

睡眠時無呼吸症候群のスリープスプリント治療と同じメカニズムです。

 

下顎の位置に問題があり、扁桃が肥大しているケースでは扁桃の摘出を行い、大きさを縮小できれば解決できますが、頻繁に高熱を出すなどの重篤な症状がなければ摘出の対象とみなしてくれないでしょう。

 

矯正歯科医としてはこういったケースでは切ってくれれば早いのになと思ってしまいます。

 

最後に一言、面白い論文を読ませていただきました。