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2011.04.11

歯の生え換わり

歯が生え換わるとき、乳歯がぐらぐらし始めてから生え換わります。

乳歯がぐらぐらし始める時、永久歯が伸びてきて乳歯の歯根に当たり、乳歯の歯根が溶かされてどんどん短くなっていきます。

上のレントゲンの左側は乳歯の歯根が短くなる前、右は永久歯が伸びてきて乳歯の歯根が短くなってきているところです。

 

乳歯の歯根が短くなると、歯を支える部分が少なくなるためにぐらぐらし始め、最終的には乳歯が抜け落ちます。

 

しかし、時には永久歯が乳歯の歯根の方へ向かわず、ずれていることがあります。

上のレントゲン写真は永久歯が乳歯の歯根とずれているため、乳歯の歯根が溶かされず、残ったままになっています。

こういった場合、早めに乳歯を抜歯しないと永久歯がずれて生えてしまいます。

 

また、乳歯の下に永久歯が存在しない場合、

上のレントゲンは成人のものですが、永久歯が先天欠損のため乳歯の歯根が溶かされずに残っています。

このように永久歯が存在しない場合は、虫歯や歯周病にかからなければ乳歯が長く残ります。

歯が生え換わらないとき、何かの原因があることが多いので、気になるときは早めにご相談ください。

2011.03.29

ボトックス注射

ボトックス治療というものがあります。

ボツリヌス菌由来の毒素を注入してシワの改善を行うなどアンチエイジングの治療として脚光を浴びています。

ボツリヌス毒素は神経毒素で、神経をマヒさせる作用があります。

もともと神経の異常な活動に伴う痙攣などに使われていたのですが、表情筋などに用いることで筋肉の働きを抑制し、シワができるのを改善するといった利用がされています。

 

このボツリヌス注射を審美歯科で使用するところが増えてきています。

ほうれい線やガミースマイルの改善に使用されているようです。

くちびるへの使用ならわかりますが、ほうれい線周囲への適用は歯科の範疇を越えていないかどうか心配になります。

形成外科と審美歯科が併設されているところなら大丈夫かな。

 

今後の展開が気になります。

2011.03.28

歯科医師国家試験

2011年の歯科医師国家試験の合格発表が3月22日に行われました。

私が受けたころの歯科医師国家試験(国試)は90%をやや切る程度の合格率で、普通に勉強していれば合格するという雰囲気でした。

そのころから歯科医師は過剰であるという認識はなされていましたが、国立の入学定員をわずかに減らすという対処のみでした。

その後、国試の合格率は下げられ、今では合格率の平均が70%前後になっています。

 

 

特に1度でも国試に落ちたことのある人(国試浪人)にとっては狭き門(合格率30%前後)となっています。

 

大学にとっても国試の合格率は大学の歯学教育の質を問われるので、合格率をいかに上げるかが課題となっています。

ただ問題は新卒の場合は目が届きやすく、ある程度の合格率が見込めるのですが、国試浪人については大学の目が届かないので、国試浪人が増えると必然的に大学単位の合格率が下がっていきます。

DESのデータ参照

そこで、いかに新卒の合格率をあげ、国試浪人を作らないようにキープし続けるかが重要になります。

新卒の合格率をあげるため、卒業認定を厳しくし、国試浪人になりそうな人は卒業させないようにしたり、

6年生に対してはあまり実習や講義を行わず、国試の勉強を行う時間がとれるように配慮したりするところも増えています。

大学教育というよりはむしろ予備校のようになっていますが。

 

自分の時は6年生の実習期間が過ぎても症例が足りず、2月下旬まで追加で臨床実習をしていました。

時代が変わったなと思います。

2011.03.25

フッ化物使用に対する私の考え

フッ化物に対する虫歯予防の効果や利用方法、フッ化物の人体への影響などについて長々と書いてきました。

今日は中立的な立場を離れ、私見を述べたいと思います。

 

フッ化物は適正範囲で使用される限り、フッ素症を引き起こすことなく虫歯の予防効果が高いと思います。

特に、歯が生え始めた子供や、寝たきりになったお年寄りなど、虫歯になってもなかなか治療にお金を掛けることができない低所得のかたに対しては水道水のフッ化物濃度の調整の効果は高いと思います。

また、虫歯の治療に費やされる医療費とフッ化物の調整にかかる費用を比べるとフッ化物調整の費用のほうが安くて済みます。

ただ、コミュニティーに対する調整となると、住民全体の理解を得ることが必要となり、たとえ虫歯予防の効果が高くとも、添加するということに拒否感を持つ人が出るでしょう。

そして、実際には多くの住民はフッ素のことをよく知らない状態なので、特に水道水にフッ化物を添加する必要はないと考えると思います。

コミュニティーの住民の多くが求める状況にならない限り、水道水のフッ化物濃度調整は行われないと思います。

 

次に、学校単位のフッ化物洗口ですが、実際に実施するのは教職員です。

児童が誤って飲み込んだ時、教職員が手順を間違えたとき、フッ化物の取り扱いに誤りがあったとき、その責任の所在が問題となります。

実際には誤って飲み込んでも大丈夫なレベルで、フッ化物洗口による健康被害は考えなくてよいのですが、それを周知しても現場レベルではあまりやりたくないと考えていると思います。

日本人は間違えは許されないとか、ある一定確率でヒューマンエラーは起きるものであっても、たるんでいるとか考えがちです。

そしてエラーがあったとき、健康被害は出ないとわかっていても保護者からのクレームは発生するでしょうから、昨今のモンスターペアレンツへの対応に苦慮されている現場ではあえて悩みの種を増やしてくれるなと思っているでしょう。

ただ、永久歯が生え始めるときにフッ化物を利用すると虫歯の予防が効果的に行われるのは事実なので、学校単位でのフッ化物洗口は保護者、教職員、歯科医師、行政がコンセンサスをとりながら推進していくことが望ましいと思います。

 

水道水のフッ化物濃度調整や学校単位のフッ化物洗口も行われない場合は、各家庭レベルで虫歯予防をしていく必要があります。

人によっては日常的な口の中のフッ素濃度は低い状態にあるため、生活習慣によっては虫歯にかかりやすい状態にあるかもしれません。

歯科医師に相談し、歯科医院でのフッ素塗布なども利用しながら虫歯にかかりにくい状態を作ってください。

 

最後に、私としては水道水のフッ化物濃度の調整をぜひとも行ってほしいなと思っています。

自分の子供の歯が生え始めたころ、歯磨きするのも一苦労しました。

抑えつけて、無理やり口を開かせて歯磨きしていたのを思い出します。

もし、自分の意思が弱く抑えつけながら歯磨きなんてできないと思っていたら今頃こどもの口の中は虫歯があったかもしれません。

また、子供が歯磨きをいやがっていたころはお菓子を与えないようにしていましたが、もし砂糖が多く含まれたお菓子を与えていたら歯磨きを嫌がらなくなる前に虫歯を作っていたかもしれません。

診療をしていると子供が口を開けてくれないから歯磨きができないという保護者の方、ほしがるからお菓子を無制限に与えている保護者の方を見かけることがあります。

その多くの場合子供の口の中に虫歯が多かったりします。

こういった保護者を責めるのは簡単ですが、子供が悪いわけではありませんので、こういった子供でも虫歯が少なくなればそれにこしたことはありません。

こども以外でも認知症の方、手が不自由な方はなかなか上手に歯磨きができません。

そういった方にとっても水道水を飲めばある程度虫歯が予防できるので、福祉の観点からも良い方策と思います。

実施する自治体が出てきてくれれば良いなと思います。

2011.03.23

フッ化物の虫歯予防のメカニズム

フッ化物を使用するとなぜ虫歯が予防されるのでしょうか。

フッ化物の虫歯予防は主に3つの働きによると考えられています。

1.歯の結晶に作用して、虫歯原因菌の出す酸に強い歯に変える
2.歯のエナメル質を強化したり、少し酸に溶かされた部分を元に戻す
3.虫歯原因菌の酸を出す活動を弱める
などです。

 

これを詳しく見ていきます。

歯の周囲に0.1~1.0ppmのフッ化物イオンがあると、虫歯原因菌によって酸が作られ歯の周囲の酸性度が強くなるとフッ化物イオンが歯が溶けだすのを抑制します。

そして、歯の周囲の酸性度が弱まり、中性ぐらいまで回復すると、溶けたエナメル質の結晶(ハイドロキシアパタイト)の部分をフルオロアパタイトという結晶となっておぎないます(再石灰化)。

このフルオロアパタイトは酸に強い結晶で、このような過程を経てフッ素の使用によって歯は酸に強い歯に変わります。

生えたばかりの歯は酸に弱く、虫歯になりやすい状態です。

時間とともに歯は酸に強くなっていく(エナメル質の成熟)のですが、フッ素は生えたばかりの歯にも早く作用してエナメル質を強化し、酸に対して強い歯に早く変ます。

虫歯は、原因菌が歯に付着し、糖質を分解し、酸を産生するために起こります。

フッ素は虫歯の原因菌が歯に付着すること、糖質を分解する酵素の働き、酸を産生することのそれぞれに作用すると考えられています。

また歯垢が付いている場合でも、口の中のフッ化物イオンの濃度が高いと、歯垢の中にフッ化物イオンが貯められ、歯垢の周囲が酸性になると、歯垢の中からフッ化物イオンが出てきて歯が溶けだすのを抑制したり、再石灰化を促進します。

 

このようにフッ化物には虫歯を効果的に予防する作用があります。

しかし、虫歯のない状態を維持するためには、口の中にフッ化物イオンがつねに存在する状態にする必要があります。

フッ化物を供給する手法は様々です。

どのように供給するかを考えられてみてはいかがでしょうか。

2011.03.22

集団に対するフッ化物使用の問題点

今まで述べてきたように、フッ化物を使用すれば虫歯の予防効果は高いです(虫歯が0になるわけではありません)。

しかし、ご家庭でフッ素入りの歯磨剤を使用したり、歯科医院でフッ化物を塗布する場合と違って、学校単位のフッ化物洗口や、地域単位の水道水フッ化物濃度調整の心理的障壁は高いと思います。

特に日本人の場合、安全な濃度とされていても食品添加物や農薬の使用に対する反応を見ているとフッ化物を使用する際の拒否反応は想像に難しくありません。

 

一般の人の考えるリスク認知は専門家の考えるリスク認知とは異なっています。

専門家の考えるリスクは純粋に、被害が出た時の大きさと被害が起きる確率で判断します。

一方、一般人のリスク認知の研究を行ったSolvicによると、一般の人は物事のリスクを考えるときに「恐ろしさ」と「未知性」で判断すると報告しています。

つまり、恐ろしいか、恐ろしくないか、知っているか、知らないかの2軸で考えるということです。

一般の人にとってリスクが低いと考えるのは「恐ろしくない」かつ「良く知っている」ことで、リスクが高いと考えるのは「恐ろしい」かつ「全く知らない」ことだそうです。

 

水道水のフッ化物濃度調整(フロリデーション)の場合、一般の人の認識はワクチンと同程度の恐ろしさで、あまり恐ろしく感じてはいないようですが、あまり知らないようです。

これが水道水のフッ化物濃度調整に対して反対する原因と考えられます。

 

集団のフッ化物洗口の場合も同様に、それを実施する教職員、受ける児童や保護者はフッ化物の使用についてあまり知らないことが問題であると考えられます。

 

実施を所管する自治体、歯科医師会は一般の人々へフッ化物のことをもっと知ってもらう必要があるのではないでしょうか。

一般の人々がフッ化物について良く知るようになれば、自転車に対するリスク認知になる日も来るかもしれません。

 

続きます。

2011.03.21

フッ化物をによる虫歯予防手法

フッ化物を使った虫歯予防の手法は

・フッ素入り歯磨剤
・フッ化物スプレー
・フッ化物錠剤、フッ化物液剤
・フッ化物洗口
・フッ化物歯面塗布
・水道水フッ化物濃度調整
があります。

フッ化物を使用した家庭での虫歯予防は

・フッ素入り歯磨剤
・フッ化物スプレー
・フッ化物錠剤、フッ化物液剤
・フッ化物洗口
が、

学校でのフッ化物を使用した虫歯予防は

・フッ化物洗口
が、

歯科医院でのフッ化物を使用した虫歯予防は

・フッ化物洗口
・フッ化物歯面塗布
が、

地域単位でのフッ化物を使用した虫歯予防は

・水道水フッ化物濃度調整
があります。

 

フッ素入り歯磨剤

フッ素入り歯磨剤は国内シェアの89%を占めています。

フッ化物濃度はおおむね900~1000ppm(歯磨剤1000gあたり900~1000mg)です。

歯磨き後に口を漱ぎ、口の中に残るフッ化物の量は成人で0.045~0.12mg、5歳以下の子供で0.032~0.14mgと推計されています。

アメリカの歯科医師会や小児歯科学会のデータによると、日本のような水道水のフッ化物濃度を高めに調整していない場所での推奨される1日のフッ化物摂取量は、3歳未満で0.25mg、3~6歳で0.5mg、6~16歳で1mgとなっているので、1日3回歯磨きしても推奨摂取量に届かないため問題ありません。

 

フッ化物洗口

フッ化物洗口には週5回法と週1回法があり、週5回法では250ppmのフッ化物溶液を1回5mlで毎日、週1回法では900ppmのフッ化物溶液を1回10mlで週1回洗口を行います。

この2つの方法の予防効果の差はありません。

濃度の差から幼稚園などでは週5回法、小中学校では週1回法が通常行われます。

フッ化物洗口の虫歯予防効果は、日本では31~79%の虫歯予防効果が得られたと報告されています。

フッ化物洗口による口の中のフッ素残留量は4歳児で0.19mg、5歳児で0.17mgだったという報告があります。

中には0.5mgを越える児童が含まれていますが、追跡調査では0.5mg以下に低下したそうです。

上述のフッ素入り歯磨剤と併用した場合、1日3回の歯磨きとフッ化物洗口で平均的には4、5歳児で0.5mgのフッ化物摂取となり、1日のフッ素推奨摂取量となります。

もし、歯磨き、フッ化物洗口ともに高い濃度で口の中にフッ素が残留しても歯のフッ素症にはならないと推測されます。

安全性に対しては、1994年WHOは6歳未満の子供に対するフッ化物洗口は推奨しないとしています。これは諸外国では水道水のフッ化物濃度調整が行われているため、1日に摂取するフッ化物濃度が基準を上回る可能性があるためです。

しかし、日本では水道水のフッ化物濃度調整が行われていないため、WHOのガイドラインは日本には適用外でしょう。

 

フッ化物歯面塗布

フッ化物の歯面塗布は歯科医師、歯科衛生士によってされる方法です。

フッ化物の濃度は9000ppmでフッ素入り歯磨剤やフッ化物洗口に対して高濃度です。

回数としては、

2週間の間に3~4回塗布、これを年1~2回行う方法と、

1回塗布を年1~2回行う方法があります。

効果的な塗布の間隔は3~4ヶ月ごととされています。

 

水道水のフッ化物濃度調整

水道水のフッ化物濃度を調整し、フッ化物濃度を虫歯予防に効果的な濃度にする方法です。

通常の水道水に含まれるフッ化物濃度は0~0.8ppmですが、これを虫歯予防に効果的な0.7~1.2ppmに調整します。

費用的にも安く、1人あたり年間45円ほどだそうです。

最近はフッ化物濃度をコンピューター管理し、高い精度で濃度管理を行っています。

水道水のフッ化物濃度調整はコミュニティーのすべての人に平等に虫歯予防ができる利点があります。

水道水のフッ化物濃度調整は香港、シンガポールで100%、カナダで43%、アメリカ69%、オーストラリア・ニュージーランド61%で行われています。

オーストラリアのデータでは、水道水単独で歯のフッ素症にはならない(他のフッ化物の使用を適切にした場合)、骨折が少ない、がんとは関連がないと報告されています。

日本でも過去に水道水のフッ化物濃度調整が行われた地域がありましたが、期限付きの研究だった、水源が変更となったなどで終了しています。

 

続きます。

2011.03.19

歯のフッ素症

フッ素症についてです。

 

歯のフッ素症はエナメル質が作られている時期にフッ化物を大量かつ継続的に摂取したときに生じるエナメル質の形成不全症です。

大量かつ継続的に摂取するためのフッ化物の供給源は主に飲料水です。

しかし、近年ではフッ化物を水道水に添加している地域でフッ化物錠剤を誤用したり、大量にフッ化物が配合された歯磨剤を使用することで、結果的にフッ化物の大量摂取となったケースで報告されています。

飲料水のフッ化物濃度とフッ素症の関係は、フッ化物濃度が1.5ppm(飲料水1リットルあたり1.5mgのフッ素)から歯のフッ素症が出現し始め、濃度が高くなるほど症状は重度になってきます。このフッ化物濃度が0~1.4ppmの場合は公衆衛生上特に問題ないとされています。ただし、フッ化物濃度が1.5ppmに近い地域で上記のようにフッ化物錠剤を誤用したり、大量にフッ化物が配合された歯磨剤を使用すると歯のフッ素症になる可能性が高くなります。

この歯のフッ素症についてはフッ素症の人ほど虫歯になりにくいことが確認されています。

しかし見た目に悪いため、フッ素症にならない程度のフッ素濃度で虫歯の発生を抑制することが望まれます。

続きます。

2011.03.18

日常生活とフッ素

フッ素(F)は原子番号で9番目、自然界にも多く存在する元素です。

フッ素は自然界ではフッ素という結晶で存在しているのではなく、他の物資と結合してフッ化物という分子で存在しています。

 

このフッ化物は土、水、食品中に必ず含まれています。

1000gあたり、

土には平均280ppm

海水には1.3ppm

食塩には25.9ppm

鰯には8~19.2ppm

海藻には2.3~14.3ppm

お茶には0.1~0.7ppm

紅茶には0.5~1.0ppm

えびには49ppm

(ppmは重さ1000g中に1mg含まれる程度の濃度、土の場合1000g中に280mg含まれている)

などなど・・・

 

土自体に含まれるため、栽培している果物、野菜、穀類には必ずフッ化物は含まれています。

また海水中にもフッ化物は含まれているため、魚介類には必ずフッ化物が含まれています。

食事をすれば微量のフッ化物を摂取していることになります。

 

続きます。

2011.03.06

永久歯先天欠如

今朝の宮崎日日新聞の記事から、

永久歯欠損 10人に1人

小児歯科学会が調査

かみ合わせに悪影響 専門医不足

28本の永久歯のうち、1~数本が何らかの原因により作られず、欠損している「先天欠如」の子供が10人に1人いることが、日本小児歯科学会の初の全国調査で5日、分かった。

全部が生えそろわないと、かみ合わせの異常など、さまざまな悪影響が出る可能性がある。担当した山崎要一鹿児島大教授(小児歯科学)は「かなり多い数だ。治療の多くは自費診療が必要な上、治療ができる専門の歯科医師の数も少なく、大きな問題だと考えている」と話している。

2007~08年に、先天欠如以外の理由で歯科を受診した本県など12都道府県の7歳以上の子供1万5544人を調査。先天欠如は1568人(10.1%)で見つかった。

男子では9.1%、女子では11.0%だった。

上顎だけに欠損がある子は2.5%、下顎だけは5.7%、両方は1.9%。下顎で中央から左右に向かって5本目にある第2小臼歯がないケースが最多で、2本目の側切歯がない子どもも多かった。

7歳の段階でエックス線写真でも永久歯の芽(歯胚)が確認されないと、約99%の確立で欠如するとされる。乳歯は普通に生えていることが多い。

永久歯の先天欠如は原因不明のため、予防はできない。かみ合わせを正常にするため、歯並びを整えたり、インプラント(人工歯根)治療をしたりするなど、かなり専門的な治療が必要になるという。

山崎教授は「全国に歯科の病院は6万ほどあるが、きちんと対応できるのは数千程度。学会のホームページで紹介する専門医か矯正歯科医に相談してほしい」と話している。

とあります。

 

下の歯は上の記事にあるように、前から2番目と5番目の歯がない人がいます。

上の歯の先天欠如は下の歯の先天欠如より少ないですが、下の歯の場合と同じように前から2番目と5番目の歯がない人がいます。

上の前から2番目5番目の歯は、正常な大きさにくらべ小さい人が多く、特に2番目の歯が細くとがった歯になっている人はかなりの数にのぼります。

 

前から5番目の歯の場合、永久歯が先天欠如していると乳歯の歯根が吸収されないため、乳歯が長く残っていることが多いです。

そのため、大人になっても永久歯が先天的に欠如していることを知らない人がいます。

5番目の歯の場合、虫歯などによって抜歯する以外は長く残っているため、脱落したあと隙間をどうするかの対応が必要となります。

奥歯なので、ブリッジにするか、インプラントを打つかの対応となることが多いと思います。

 

前から2番目に歯の場合、生え変わりの時期に脱落することが多く、なかなか次の歯が生えてこないということで気づかれることが多いです。

前から2番目の欠如はかみ合わせがおかしくなることが多く、少ない歯の数でかみ合わせをまとめるにはかなり専門的な知識や技量が要求されます。

 

正常な歯の数と配列は親知らずを含めずに考えると右上の奥から、

第2大臼歯、第1大臼歯、第2小臼歯、第1小臼歯、犬歯(糸切り歯)、側切歯、中切歯、中切歯、側切歯、犬歯(糸切り歯)、第1小臼歯、第2小臼歯、第1大臼歯、第2大臼歯の順になっていて、

上あごの歯が14本、下あごのには14本の歯があります。

親知らずが4本すべてある人では全部で32本の歯があるでしょう。

 

一度ご自身やご家族の歯がすべてそろっているか確かめてみてください。

歯の数が少ない場合は先天欠如か埋伏歯の可能性があります。

また、第1小臼歯と第2小臼歯は本来は歯の形が似ています。

もし前から4番目と5番目の歯の形が大きく異なっている場合、第2小臼歯が欠如していて第2乳臼歯が残っている可能性があります。

そのような場合は是非矯正治療に力を入れている医療機関にご相談ください

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